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第20代 型技術協会会長


大阪大学 高谷 裕浩
 この度、2024年6月20日開催の通常総会におきまして、2026年通常総会までの一般社団法人型技術協会運営担当理事に選出され、その直後に開催された代表理事選定理事会におきまして、平田前会長の後を引き継ぎ、第20代会長(代表理事)を仰せつかりました。型技術協会は、まもなく創立40周年を迎えます。偉大な先人の方々が築かれた伝統に深く感謝し、その責任を重く受け止めるとともに、輝かしい歴史を持つ型技術協会の会長就任は身の引き締まる思いです。2004年に初めて理事を拝命して以来、およそ20年にわたり理事として型技術協会の運営に携わって参りました。その経験を活かしながらも、この機に初心に帰り、理事ならびに事務局の皆さまをはじめ各種委員の皆さまのご支援を戴きながら、心機一転して型技術協会の新たな発展に尽力したいと存じます。

 1986年、金型業界における技術情報交流の場として創立された型技術協会は、「ものづくり」は「型づくり」「型づくり」は「人づくり」を基本理念に、型技術の発展を目指して人材育成をはじめ各種事業を推進しております。型技術は、設計、材料、加工、計測、成形など広範な専門分野に及びながらも、同じベクトルをもつ各専門技術の総合力を結集した総合技術であるといえます。従って、型技術は多様性に富み、その担い手となる人材もまた多様です。型技術における人づくりは、様々な技術分野の人材やそれらを包括的に駆使できる人材、様々なレベルの専門知識、経験、技能をもつ多種多様な人材を対象としており、人材を育むしくみそのものの多様性と柔軟性が特徴です。そのような多彩な産・学の人材が一堂に会して型技術を語り会い、和気あいあいとした技術交流が広がる光景は、他の学協会にはない型技術協会のユニークさの所以ともいえるでしょう。型技術協会にしかない、この素晴らしい文化をより一層深めようではありませんか。

 『失われた30年』が語られています。実に型技術協会創設からのおよそ4分の3の時間に匹敵します。しかし、科学技術に関しては、失われたという表現に違和感を感じざるを得ません。日本の科学技術は着実に成果を積み重ねてきました。多くの失敗もあったかもしれません。しかし、それは新しい挑戦をしたからこその失敗です。むしろ、科学技術は失敗からも多くを学び、知見を積み重ねます。従って、型技術に『失われた30年』は存在しません。しかし一方では、『失われた30年』の言葉に感化し、優秀な技術者、研究者が自信を失うことに大きな危機感を覚えます。日本の強いものづくりの源泉である型技術が直面するこの危機感を払拭する鍵は、型技術協会のアイデンティティーともいえる、多様な専門技術者や研究者がもつ知識や智慧、スキルを交歓する「創造的・型つくり人材を育む場の提供」であると確信します。そのため、如何にして細分化が進む専門技術の交流の場を多様な人材育成の場とするしくみを構築するか、という新たな発想と工夫のたゆまぬ探求が、型技術協会にとって大切であると考えます。従って、型技術者会議や型技術ワークショップを主力とする各種事業や技術交流活動のより一層の充実と活性化とともに、特に学生、研究者、技術者が型技術の未来を語り会う場と機会の創出をめざしたいと思います。

 日本が世界に誇るべき技術人材、研究人材が集う創造の広場として、型技術協会の魅力がより一層輝き続けるため、理事一同、精一杯努めて参りたいと存じます。今後とも会員の皆様のご支援とご協力の程、何卒宜しくお願い申し上げます。
 
 
 
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一般社団法人 型技術協会